グラフィックデザイナー
私がグラフィックデザイナーになりたいと思った数十年前、いわゆるカタカナ職業がもてはやされた時代でした。「エンジニア」「プログラマー」「スチュワーデス」「パイロット」「ミュージシャン」「スタイリスト」「コピーライター」などなど。カッコよくて儲かって、さらに女の子にモテてる。そんな単純(不純?)な理由でグラフィックデザイナーを目指しました。美大受験に失敗して浪人していたとき、知り合いがデザイン事務所を持つというので、いきなり実践デビューしました。数年後、運良く某百貨店の宣伝部に入り込むことができ、イメージ通り、給料もよく、さらに女の子にモテました。 その後、代理店に転職し、不惑の年を迎える頃、組織で働くことの難しさに気が付きました。会社では管理職になり、人を使うこと、管理すること、諸々の職務が待っていました。そして解ったことは、自分は「職人」であったということでした。デザインの専門の勉強をしていない、もちろん大学へも行っていないということが、この頃になってボディブローのように利いてきたのです。デザイナーに限らず、どんな職業でも、専門バカになるな!ということを実感しました。グラフィックデザイナーにとって重要な要素は「理解力」と「プレゼンテーション能力」です。これは職人には不得手な分野です。若い頃は自分の才能だけを信じていれば、仕事が向こうからやってきましたが、年とともに感性が衰えてくれば仕事も減ってきます。今、あなたたちに言いたいのは、技術と感覚だけではダメだということです。知性、知識、常識、人・社会とのつながり、グローバルな目などが、より重要なことを認識して欲しいということです。よく人は「本」を読めといいますが、それも一つの方法です。映画・芝居を見る、海外へ出る、スポーツをする、何でもかまいません、いろいろな物、人、出来事に多く触れることが、デザインの勉強をするのと同じくらい重要なことなのです。